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紅ノ蝶

紅ノ蝶

想いよ、届け!


最近気になる子ができたんだ。

でも、そいつは男の子で普通に考えると叶わぬ恋だった。


そう、少なくとも俺は今日までそうだと思ってたんだ…。





<想いよ、届け!>





転校してきた時から気になっていたイタリアからの帰国子女、獄寺隼人。

中学生のくせにタバコ吸ったり、やたらと俺につっかかってきたり…。

最初はまぁ…、いい印象はなかったのな。

でも、ツナのために必死に頑張ってる姿とか負けず嫌いな所とか、そんな獄寺を見てるうちに俺は獄寺のことを好きになっていたんだ。



***************

(早く帰んなきゃ、ナイター始まっちまうぜ。)

俺は急いで教室にカバンを取りに行った。


「…って獄寺!?」

教室のドアを開けたら思いがけない人物がいた。

獄寺は俺の声にびっくりしたのか、体をビクッとしたのが見えた。

「…なんだ野球バカか…。」

舌打ちをしてこっちを睨みつける。

「獄寺、ツナと帰ったんじゃなかったのか?」

「十代目は今日は笹川と帰ったんだよ。」

「じゃあ何でこんな時間までいんの?もしかして、俺のこと待ってたの?」

「ん、んなわけあるか!屋上で寝てたら寝過ごしたんだよ!」

相変わらずの態度で俺に突っかかってくる。

「なあ、一緒帰らねぇ?」

「ちっ、帰って下さいだろ!」

悪態をつきながらも一緒に帰ってくれるらしい。

やっぱり獄寺はかわいいのな~。


「さっさと行くぞ…。」

そう言って、自分のカバンに手を掛けようとした時だった。


「獄寺、危ないっ!」

突然、窓の外から野球ボールが飛んできたのだ。

俺は夢中で獄寺をかばった。

幸い、窓は開いてたからガラスで怪我をする事はなかった。

ボールも上手く避けれたし。


「ってぇ…。」

「獄寺、怪我ないか!?」

「…ねーよ。」

「よかったぁ…。」

「てか、いつまで俺の上に乗ってるんだよ!野球バカっ!」

「あっ…。悪ぃ。」

俺は急いで獄寺の上からどこうとした。

その時指先に柔らかい感触を感じた。

まさかな…と思い自分の右手の方に目をやる。


そこには、少しだか男にはない膨らみがあった。

「えっ…、ええっ!」

俺は確かめるようにそれに手を当てた。

獄寺のやめろっ!という一言で我に帰り獄寺の上からどく。

「…獄寺、お前もしかして女の子?」

「///っ!」

獄寺は肯定だと言わんばかりに胸元を抑え、顔を赤くした。


「…誰にも言うなよ!!!」

「ツナは知ってんのかよ?」

「十代目は知ってる。もちろん姉貴やシャマルリボーンさんも…。」

この状況に頭がついていくのに俺は少し時間がかかった。


「男じゃないんだよな…?」

「だから、そうだって言ってるだろ!!!って何すんだ、野球バカっ!!!」

いつもより、激しく言い放っていた獄寺を俺はいつの間にか抱きしめていた。


「離せっ、このやろっ…「獄寺。」

獄寺の耳元に口を寄せ呟いた。


「好きだ…。獄寺。付き合ってくれ…。」

「…。付き合って下さいだろ………。」

獄寺は耳まで真っ赤にしていた。

「付き合って下さい!」

「し、しょうがねーな。野球バカは俺がいなきゃダメなんだもんな…。」

真っ赤な顔で照れながら、そう言う獄寺はすごく可愛かった。


「ああ、そうなのな~。」

「っっっ!!!///」

俺がそう言うと、獄寺はもっと顔を真っ赤にした。




***************

次の日ツナに付き合ってることを話した。

そしたらツナは、

「2人の顔を見てればそれくらいわかるよ。」
と何でもお見通しと言うように話していた。

「特に山本はめっちゃ嬉しそうな顔してるし。」

ツナはニコッと笑って俺の方を振り返った。



だって嬉しいに決まってるだろ?




昨日まで叶わぬ恋だと思ってたんだから。






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2008.2.16
もっと甘くしたかった・・・。


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